第12回
書籍
『覚悟と、メシと。』
刊行に寄せて
未来に挑戦するすべての人へ
僕の初めての著書『覚悟と、メシと。』(木楽舎)が、3月末より全国書店で発売されることになりました。この本は「いかに覚悟を決めるか」をテーマに、たくさんの先達に教わったこと、僕自身の経験から得たことを盛り込んでいます。
僕もプロスポーツの世界にいたのでわかりますが、なかなか覚悟が決まらないときというのは、自分自身でも薄々わかっているからこそ、本当にもどかしく、苦しいものです。
他人に嘘をつくことはできますが、自分自身に嘘をつくことは難しいのです。
それでも、少しずつでも動いてさえいれば、覚悟が決まる瞬間は必ず訪れます。
覚悟を決めることで、責任やプレッシャーを感じることもあるかもしれません。心が折れそうなこともあるでしょう。
そうしたときには、いかに自分を奮い立たせるか、いかに前を向くかです。僕の場合、それがメシでした。
覚悟を決めるとき、覚悟が揺らぎそうなとき、僕は街へ出て、何か特別なものを食べるのではなく、いつも自分の家でメシをつくってきました。
「腹が減っては戦はできぬ」とも言いますが、僕にとって、それぞれの「メシ」には自分を奮い立たせる記憶がスパイスのように入っているので、いつしかそれらを「覚悟メシ」と呼ぶようになりました。
本書では、そんな「覚悟メシ」のレシピも紹介させていただいています。
僕はこれからもメシとともに覚悟を決めていくつもりです。
この本をキッカケに、ぜひあなたの「覚悟メシ」を見つけていただけたらと思います。
第1章 異国で出合った母の味「ハンバーグ」
第2章 原風景の覚悟メシ「トマトソースのパスタ」
第3章 願掛けの覚悟メシ「シュニッツェル&ラタトゥイユ」
第4章 反発と平等の父の味「土曜日のカレー」
第5章 心を落ち着ける覚悟メシ「極上出汁の肉うどん」
第6章 最期までおいしいを誓う「寿司」
今回は本書の中から冒頭部分を抜粋でご紹介させていただきます。本書が覚悟を決めるキッカケになることを期待しています。
僕もプロスポーツの世界にいたのでわかりますが、なかなか覚悟が決まらないときというのは、自分自身でも薄々わかっているからこそ、本当にもどかしく、苦しいものです。
他人に嘘をつくことはできますが、自分自身に嘘をつくことは難しいのです。
それでも、少しずつでも動いてさえいれば、覚悟が決まる瞬間は必ず訪れます。
覚悟を決めることで、責任やプレッシャーを感じることもあるかもしれません。心が折れそうなこともあるでしょう。
そうしたときには、いかに自分を奮い立たせるか、いかに前を向くかです。僕の場合、それがメシでした。
覚悟を決めるとき、覚悟が揺らぎそうなとき、僕は街へ出て、何か特別なものを食べるのではなく、いつも自分の家でメシをつくってきました。
「腹が減っては戦はできぬ」とも言いますが、僕にとって、それぞれの「メシ」には自分を奮い立たせる記憶がスパイスのように入っているので、いつしかそれらを「覚悟メシ」と呼ぶようになりました。
本書では、そんな「覚悟メシ」のレシピも紹介させていただいています。
僕はこれからもメシとともに覚悟を決めていくつもりです。
この本をキッカケに、ぜひあなたの「覚悟メシ」を見つけていただけたらと思います。
第1章 異国で出合った母の味「ハンバーグ」
第2章 原風景の覚悟メシ「トマトソースのパスタ」
第3章 願掛けの覚悟メシ「シュニッツェル&ラタトゥイユ」
第4章 反発と平等の父の味「土曜日のカレー」
第5章 心を落ち着ける覚悟メシ「極上出汁の肉うどん」
第6章 最期までおいしいを誓う「寿司」
今回は本書の中から冒頭部分を抜粋でご紹介させていただきます。本書が覚悟を決めるキッカケになることを期待しています。
6歳―覚悟への序章
前年にF1日本グランプリが10年ぶりに復活した鈴鹿の1988年は、格別でした。
予選からの観客動員数は23万3000人を記録。週刊少年ジャンプではアイルトン・セナを主人公とした漫画が連載され、グランプリのテレビ放送は高視聴率を叩き出すなど、今となっては信じられないことですが、「日本中の注目が鈴鹿に注がれていた」と言っても過言でない状況だったのです。
主役は、アイルトン・セナ。ライバルは、同じチーム(マクラーレン)のアラン・プロスト。今でもF1ファンに語り継がれるライバルと言えば、この2人を想像する方も多いのではないでしょうか。
この日、スタート時点で、セナは14番手まで順位を落としていましたが、そこから
すごい勢いで順位を上げていき、10周目には4位まで浮上。28周目のメインストレートで、ついにプロストを追い抜いてトップに立ったのです。
ラスト5周に差しかかったところで雨が降り出すドラマもありましたが、結局そのままゴール。セナが、初めてのワールド・チャンピオンに輝いた瞬間でした。
「自分の隣に神を見た」
レース後、セナはそう語っていたそうです。
実はこの日、人生で初めて、僕は鈴鹿でF1を観戦しました。
爆音を響かせながら時速300キロの猛スピードで駆け抜けるマシン。歓声と熱気に包まれたサーキット。その金網にしがみついて、セナのゴールを見つめていた僕。
おこがましいかもしれませんが、この日、僕の運命は決まりました。
「F1ドライバーになりたい!」
全身の血が沸き立つ感覚を抑えきれず、サーキットからの帰り道、母にそう話していました。6歳のときのことです。
子どもが何の根拠もなく、「大きくなったら警察官になりたい」「歌手になりたい」「お嫁さんになりたい」などと言うのと同じように、「覚悟」というにはあまりに無邪気だったのかもしれません。
でも、この日以来、たとえば筆箱を新調するときも選ぶのはF1の柄のもの、友だちとミニ四駆でレースをするときも改造してF1のマシンに見立てるなど、僕は寝ても覚めてもF1のことしか考えられなくなってしまったのです。
もし、セナがチャンピオンになっていなければ――。
母がレースを見に連れて行ってくれなければ――。
予選からの観客動員数は23万3000人を記録。週刊少年ジャンプではアイルトン・セナを主人公とした漫画が連載され、グランプリのテレビ放送は高視聴率を叩き出すなど、今となっては信じられないことですが、「日本中の注目が鈴鹿に注がれていた」と言っても過言でない状況だったのです。
主役は、アイルトン・セナ。ライバルは、同じチーム(マクラーレン)のアラン・プロスト。今でもF1ファンに語り継がれるライバルと言えば、この2人を想像する方も多いのではないでしょうか。
この日、スタート時点で、セナは14番手まで順位を落としていましたが、そこから
すごい勢いで順位を上げていき、10周目には4位まで浮上。28周目のメインストレートで、ついにプロストを追い抜いてトップに立ったのです。
ラスト5周に差しかかったところで雨が降り出すドラマもありましたが、結局そのままゴール。セナが、初めてのワールド・チャンピオンに輝いた瞬間でした。
「自分の隣に神を見た」
レース後、セナはそう語っていたそうです。
実はこの日、人生で初めて、僕は鈴鹿でF1を観戦しました。
爆音を響かせながら時速300キロの猛スピードで駆け抜けるマシン。歓声と熱気に包まれたサーキット。その金網にしがみついて、セナのゴールを見つめていた僕。
おこがましいかもしれませんが、この日、僕の運命は決まりました。
「F1ドライバーになりたい!」
全身の血が沸き立つ感覚を抑えきれず、サーキットからの帰り道、母にそう話していました。6歳のときのことです。
子どもが何の根拠もなく、「大きくなったら警察官になりたい」「歌手になりたい」「お嫁さんになりたい」などと言うのと同じように、「覚悟」というにはあまりに無邪気だったのかもしれません。
でも、この日以来、たとえば筆箱を新調するときも選ぶのはF1の柄のもの、友だちとミニ四駆でレースをするときも改造してF1のマシンに見立てるなど、僕は寝ても覚めてもF1のことしか考えられなくなってしまったのです。
もし、セナがチャンピオンになっていなければ――。
母がレースを見に連れて行ってくれなければ――。
『覚悟と、メシと。』 |
著者:山本左近 発行:木楽舎 発売:2019/3/29 価格:1,512円(税込) |